消費者法
「消費者法」というと景品表示法や消費者契約法がまず想起されますが、「消費者法」という法律はありません。当事務所では、消費者を対象とするBtoCビジネスにおいて問題となる法令を広くとらえて「消費者法」と定義しています。消費者法の実務においては、業種横断的規制も存在するため意図せず消費者法の適用を受けていることがあることはもちろん、適用される法律が業界によっても異なり、多数の法令に目配りする必要があることに加え、行政機関の法運用の実態を理解していないと実務的な判断を行うことができません。
加えて、単純な法律上の結論にとどまらず、消費者団体やマスコミ、さらにはSNSでの消費者の反応等、取引先・株主などのステークホルダーの対応を踏まえて臨機応変な対応を行うことでレピュテーションのコントロールをする必要があります。
当事務所では、消費者庁の表示対策課において景品表示法の課徴金制度の立案等を担当した弁護士(染谷)に加え、消費者庁設立前に公正取引委員会で景品表示法の執行を経験した弁護士(池田)を擁し、多数の実務経験に基づく実務的な対応により、クライアント様にとっての最良の結果を目指します
景品表示法・その他の表示規制の相談
景品表示法の当局対応(危機管理)
景品表示法に基づく法執行は、2017年度に消費者庁による措置命令件数が前年度の2倍となる50件を記録し、消費者庁設置後最大件数の処分が行われるなど、激化の一途をたどっています。2016年に導入されたばかりの課徴金制度に基づく命令も既に多数出されており、企業にとって表示規制違反は、企業のレピュテーションはもちろん、金銭的にも見過ごすことのできないリスクとなっています。
当事務所の代表弁護士のうち、染谷は消費者庁の表示対策課において課徴金制度や課徴金制度の政府令・ガイドラインの立案対応や消費者庁の調査方法の策定に携わるなど、消費者庁をはじめとした執行当局の景品表示法の調査実務に精通しています。また、池田は、消費者庁設立前に景品表示法を所管していた当時の公正取引委員会において、景品表示法の執行を担当し、違反を争う審判を経験しています。
当事務所の代表弁護士2名は、これまで合計10件を優に超える措置命令・課徴金納付命令案件を経験しており、景品表示法案件に最も豊富な経験を有する法律事務所の一つです。もちろん、措置命令・課徴金納付命令に至らない案件は、行政命令を受けた案件の数をはるかに上回る数を経験してきており、多数の案件において、消費者庁等の調査を回避し、または調査を受けた場合でも行政命令を受けない解決を多数獲得しています。
表示案件は常識があれば判断できると誤解されることもありますが、消費者庁等の執行官庁の判断の傾向を熟知していなければ的確な判断を行うことは容易ではありません。また、課徴金導入の際に合わせて導入された自主申告制度や返金制度を利用するかなどは、制度の表面的な理解にとどまらず、実際の運用の正しい理解に基づいて、タイムリーな判断を下す必要があります。当事務所の弁護士は、執行側の視点・思考に対する深い理解に基づくリスク評価を行うことにより、無難な教科書的なアドバイスではなく、実務のニーズに即した実践的なアドバイスを行っています。
さらに、当局からの調査が行われる場合、並行して、メディア・SNSなどによって自社商品・サービスがいわゆる炎上し、消費者や取引先などからの問い合わせなどが殺到する場合があります。この場合の対応を誤った場合には、さらなる炎上を招いて当局の調査に悪影響を与えたり、株価が急落したり、商品自体が廃止となるなど企業のレピュテーションが壊滅的に毀損されることがあります。
当事務所の弁護士は、表示問題で企業のレピュテーションが毀損するおそれがある場合において、当局の調査対応を視野に入れた上でのメディア対応、CS(カスタマー・サティスファクション)対応方針の策定、取引先への説明方針などの広報・危機管理戦略のアドバイスも併せて行っております。
景品表示法・その他の表示規制の相談
消費者庁は、2017年以降、景品表示法における打消し表示の実態調査を行い、打消し表示の規制を強化する考えを公表し、打消し表示の不十分性を捉えて、着実に行政処分を行ってきております。
広告審査を行う上では、このような打消し表示などの景品表示法の最新のトレンドも含めて検討することが急務です。そのためには、対象となる商品・サービスの内容・取引条件の正確な理解が必要であることはもちろん、強調表示の内容(消費者に対し強調する商品・サービスに関する表示)や、打消し表示の表示方法・内容について、ウェブ広告・スマホ広告・動画広告・紙媒体といった媒体ごとの違いに応じて、入稿までの極めて限られた時間内に、的確に表示内容をレビューした上で、表示を適正化する必要があります。
当事務所の代表弁護士はいずれも、打消し表示を含む景品表示法の最新動向に係る論稿を発表してきており、公正取引協会をはじめとする著名な機関が主催する担当講師を務めるなど、打消し表示を含めた最近の景品表示法のトレンドに精通しています。とくに染谷は、複数の大手企業の広告審査部門のメンバーとしても、年間優に数百件を超えるまさに表示の現場における広告の審査の中で、ユーザー体験を阻害しないウェブサイトのUI/UXの考案やディレクションをタイムリーに実施してきております。
また、言うまでもなく、表示規制は景品表示法に限定されるものではなく、業界や商品・サービスに応じて、健康増進法・医薬品医療機器等法(薬機法)・食品表示法・家庭用品品質表示法などさまざまな関連法令に目配りすることが必要です。当事務所の弁護士は、数多くの業界からのご相談を受任する中で、これらの関連法令にも精通しています。
景品規制
コモディティ化した商品・サービスはもちろんのこと、例えば、ネットワーク性があるビジネスにおいて、早期に顧客を囲い込みすることが事業戦略上必要であり、キャンペーンの存在が重要であることはいうまでもありません。
このため、景品表示法実務においては、表示規制のみならず、景品規制も極めて重要です。当事務所の弁護士は、表示規制の相談数に勝るとも劣らない多数の景品規制に関わる案件を経験しています。近時では、ネット事業者とリアル事業者のコラボレーション企画による景品類の提供や複雑なポイント制度の活用等、景品規制上の評価が難しい案件が急増していますが、当事務所の弁護士は、景品規制の仕組みの体系的かつ網羅的な理解に基づき、規制への適合性の評価や、実施可能な代案の提供など、実務に即したアドバイスを提供しています。
景品表示法コンプライアンス
景品表示法の2014年6月改正法により、消費者向けの表示を行う全ての企業は、同年12月以降、適切な景品表示法コンプライアンス(表示等管理体制)を構築することが義務化されました。消費者庁は、当該改正法施行後5年間で、適切な表示等管理体制を構築できていない企業に対し、既に270件を超える件数の指導及び助言を行っているところです。
このように同法施行後数年が経過していますが、施行時に十分な対応ができなかった企業や、当時一回対応したもののメンテナンスできずに有名無実になっている企業、本社は対応したもののグループ会社まで手が回っていない企業等は、いまだに多くみられます。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、消費者庁勤務時代、表示等管理体制を導入した改正法を含む説明会を全国で行っており、当局の立場からみた表示管理体制のあり方に精通しています。また、当事務所の代表弁護士はそれぞれ、消費者庁からの措置命令や行政指導において、不当表示の再発防止が命ぜられた場合の再発防止策を含む景品表示法コンプライアンスの構築の支援を数多く行っており、多様な業界の景品表示法コンプライアンスの経験を有しており、下記を含むサービスを提供しています。
- 景品表示法コンプライアンスの社内規定類の整備・改定
- 社内において問題となる表示類型・キャンペーンの調査・分析
- 社内の問題となる表示類型・キャンペーンに即したチェックリスト・マニュアルの作成
- 役員向け社内研修の実施
- 広告審査部門/キャンペーン法務部門の立ち上げ・サポート
詳しくは、サービスのページも合わせてご参照ください。
他社の景表法違反に対する対応
自社が表示の適性を確保していたとしても、競合会社が誇大表示をするなど景品表示法その他の表示規制を遵守していない場合、競争上自社が不利に追い込まれます。このような場合、競合も行っている表示だからといって自らも同様に誇大表示を行う場合には、自らが不当表示を行ったこととなり、景品表示法違反となってしまいます。
そこで、競合の不当表示を是正させるための一つの手段として、消費者庁をはじめとした当局への違反行為の申告・不正競争防止法などを根拠とした民事訴訟など様々な手段が考えられます。当事務所の弁護士は、上記のような他社の景表法違反に対する対応を数多く経験しており、他社の不当表示を是正させた実績もあります。お客様の置かれた状況や業界に応じて有効かつ現実的な提案をいたします。
資金決済法・銀行法・割販法(FinTech)
IT×金融を掛け合わせたFintechに金融機関やIT企業が次々と参入し、トークンビジネスが発展したことにより、電子マネーや決済アプリが普及し、キャッシュレス化が著しい速さで進んでいます。
このような決済関係のビジネスは、消費者のお金を扱うため、消費者法の問題点が先鋭化する分野であり、景品表示法などの消費者規制に加え、決済金融の業法規制が適用される場合があります。すなわち、消費者法と金融規制の双方に対する深い理解と経験が要求される分野であり、当事務所はかかる分野に専門性を有する数少ない事務所であると自負しています。
一口に電子マネーといっても、その内実は、単なる景品規制の対象となり得るポイントであることもあれば、資金決済法上の前払式支払手段であったり、銀行法上の為替取引であったり、信用販売取引であったり実に様々であり、全て適用される法律が異なります。
また、収納代行ビジネスを行う事業者は、従来、実質的に為替取引でないのであれば、銀行法や資金決済法の資金移動業の適用対象外となっていましたが、2017年銀行法改正により導入された電子決済等代行業のうち指示型電子決済等代行業に該当し、銀行法に基づき登録が必要となるケースがあるなど、最新の決済規制の動向をキャッチアップしておかないと意図せず法令違反をするおそれがあります。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、数多くのゲーム会社の自家型前払式支払手段や、IT会社の第三者型前払式支払手段の発行の助言、届出・登録の代理はもちろん、資金移動を利用した決済アプリへの法的助言も日常的に行っており、さらには、関東財務局・金融庁との間での仮想通貨交換業の法令解釈の折衝や調査対応を手がけてきており、資金決済法に深い知見を有しています。
また、染谷弁護士は、業界最大手のクレジットカード会社と2017年改正銀行法で導入された参照型電代業者の顧問を務めており、このような消費者決済規制の豊富な経験に基づき、お客様の決済ビジネスに即した戦略的な助言・サポートをいたします。
個人情報・プライバシー・セキュリティ
マーケティングや的確なターゲティング広告配信のためには、個人情報を含むパーソナルデータの収集が欠かせません。また、AIビジネスなどにおいては機械学習が前提となるため、大量のデータを読み込むことが必要となります。一方で、2015年の個人情報保護法改正の制定過程での議論をはじめ、日本においても、プライバシー・バイ・デザインの考えが普及しつつある他、度重なる大規模な個人情報の漏えい案件が社会的問題となったことなどから、消費者のプライバシーの権利意識は高まっています。
このため事業者に個人情報保護法を遵守することは当然であるところ、消費者のパーソナルデータを利活用して、データ・ドブリン・ビジネスを行うのであれば、ビジネススキームやサプライチェーンの綿密に分析した上で、パーソナルデータの取扱いや第三者への提供方法を整理する必要があります。このような整理を前提に、プライバシーポリシーその他cookie利用の同意取得文言などを策定したり、安全管理措置を施すほか、適法に第三者提供をする場合であっても,その提供手段であるデータ提供契約またはデータライセンス契約の内容が適正なものである必要があるなど、データビジネスには複雑かつ正確な実務経験が求められます。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、業界大手のクラウド企業、検索ビジネス、AIビジネス企業、Fintech企業などのデータドブリン事業者から、日常的に相談を受けており、個人情報の利活用やデータ戦略のアドバイザリー、クレジットスコアビジネスの企画などの依頼において多くの実績をあげているほか、社内研修の講師や、委託先の個人情報取扱いの監査・個人情報の漏えい事故における損害賠償請求の代理人も複数勤め、豊富な経験を有しています。当事務所は、消費者の権利に配慮した上で、お客様のビジネスを促進するデータ戦略を提案いたします。
利用規約・約款/消費者契約法
スマートフォンの普及、キャッシュレス化、取引のボーダレス化により、さらにBtoCの取引が加速するため、今後の経済社会において、消費者取引の基本的ルールである利用規約・約款の重要性が増しています。
このような社会的背景を踏まえ、消費者契約法の2016年・2018年改正により、無効となる条項の類型が追加されただけでなく、民法(債権法)改正において定型約款規制が導入され(2020年4月1日施行)、定型約款に該当する場合には、利用規約・約款の内容の適正はもとより、組入要件や利用規約・約款の変更手続の適正も確保する必要があります。とくに、利用規約・約款の不当条項規制については、不当勧誘規制と異なり、事実に争いが少ない事案が多く、適格消費者団体からの申入れや差止め請求の対象となりやすい特徴があります。適格消費者団体からの申入れや差止め請求は、交渉過程が適格消費者団体により公表されることがあるため、対応を誤った場合には、企業のレピュテーションに影響を与えることがあります。この意味でも利用規約・約款の適正化は重要となります。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、大手IT企業の組織内弁護士として数多くのIT企業の利用規約・約款のレビューを経験した上、現在においては最も厳格性が求められる金融機関の利用規約・約款の作成・レビューを行っており、利用規約・約款規制について多様かつ豊富な経験を有しております。代表弁護士(池田)も、外部弁護士の立場から、企業のビジネスモデルを達成するための利用規約・約款の検討などの複雑な事案を経験し、消費者契約法のセミナー講師を務めるなどしており、事務所としての総合力をもってご依頼者様のビジネスをサポートできる体制を有しております。
消費者安全関係/PL(製造物責任)
消費者の生命・身体に対する安全を確保するための代表的な法律である製造物責任法(PL法)においては、一旦欠陥が認定されてしまうと、お客様の側に過失が認められなくても責任を追及され得ます。
また、安全確保のために設けられた法規制は、消費者向けの製品に関しては、消費生活用製品安全法を基本としつつ、業界に応じて、薬機法、食品衛生法、旅館業法、旅行業法、航空法、道路運送車両法などがあります。これらに加えて、2009年の消費者庁設置の際に消費者安全法が制定され、個別業法がそれまでカバーしていなかった領域全てにおいて、安全面で問題があった場合に行政処分をすることができるようになりました。
消費者事故の原因は様々ですが、多くの場合、事故を「意図せず発生してしまった」ものであるため、安全面でトラブルが発生した場合に備えていわゆるPL保険に加入することが一つのリスクヘッジ案です。しかし、近年、意図的に事故の原因を知りながら放置し、隠蔽した事案も発生するようになってきており、こういった場合には、PL保険の対象外になるだけなく、事業の存続自体に致命的な影響を与えるおそれがあるため、消費者事故の法的リスクマネジメントが必須となります。
とくに、消費者安全の分野においては、事故に遭ってしまった消費者への適切な対応(お詫び・被害回復)・広報対応・再発防止策の策定・当局対応といった複合的な問題が、タイトな時間の中で対応する必要がある上、適切に対応できない場合には、企業のレピュテーションを毀損し、事業の存続そのものに影響を与える場合もあります。
当事務所の弁護士(染谷)は、消費者庁勤務経験を有し、警告表示のレビュー、事故を想定した場合における業務マニュアルの策定など平時における安全法対応の経験を有するほか、事故があった危機状態におけるリコール対応、広報対応、原因の究明・再発防止策の策定、消費者対応について豊富な経験があり、平時から緊急時までワンストップでサポートいたします。
特定商取引法・電子メール規制
特定商取引法(預託法を含む。)は、通信販売・電話勧誘などといった取引態様に着目して規制を行うものであり、法令による適用除外がなされない限り、業種横断的に適用される取引規制法です。
法律実務家からみても難解な構造になっており、規制の対象となっていることに気づかず、規制に違反している状態になっていたという例も散見されます。たとえば、スマートスピーカーと通信販売規制の関係といったように最新テクノロジーと特商法の規制の適用関係が明らかではない事例の場合はもちろんのことながら、家庭教師ビジネス事業者が顧客獲得のために営業手法を多層化したことにより、訪問販売・通信販売・特定継続的役務提供規制が重畳的に適用される事例などもあります。とくに、実務上、IPO直前期やM&AのDDにおいて、実は特商法の規制対象であったという指摘を受けるケースなどではコンプライアンス体制を抜本的に変更する必要があり、企業にとって大きい負担となるところです。
また、特商法の規制対象になることを前提として事業を行っていても、例えば、クーリング・オフは、交付された契約書面が法律で定められた事項に漏れがあれば、期間制限なく行使できるものとなり、事業に与える影響は軽微ではありません。
このように、特商法の適用の有無はもちろんのこと、特商法が適用される場合には、契約書面の整備はもとより、勧誘マニュアルの策定・従業員への周知徹底など、法令が求めるコンプライアンス体制を実施する必要があります。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、消費者庁の勤務経験を有し、かつ、通信販売協会や訪問販売協会での研修の講師を務めるなど消費者取引規制には精通しており、日本を代表する家庭教師やIT事業者の特商法規制に係る代理をし、豊富な経験を有しています。複数の消費者庁による調査事案を含む多数の特商法案件の経験を有する代表弁護士(池田)も合わせ、当事務所は、ご依頼者様に座りの良い解決策(ソリューション)を提案し、実践いたします。
次に、電子メールによるマーケティングは未だに有力な方法ですが、実施する場合には、特商法の通信販売規制と、特定電子メール法の規制の双方を意識して行う必要があります。いずれの規制は一緒くたに考えられがちですが、その規制趣旨は全く異なるものであり、規制内容の解釈や運用には違いがあります。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、大手IT企業の組織内弁護士として数多くの電子メール規制に関する経験を有しており、電子メール送信のオプトイン取得のコンヴァージョンレートをあげるためのスキームやUIの考案、オプトインを取得できなかったユーザーに対する契約の内容のお知らせに付随した広告メールのレビューなど、ビジネスのニーズに応える実践的な助言を提供いたします。
消費者争訟・消費者団体対応
BtoCビジネスにおいて消費者からのご意見やクレームは必ず生じます。このため、お客様相談室といったCS部門の整備はBtoCビジネスにおいて重要な課題ですが、CS部門が充実していた場合であっても、消費者争訟自体は避けられない場合があります。原因は、サービスに対する不満のこともあれば、表示・取引・安全に法的な問題があった場合など様々です。とくに、近年のスマートフォンやSNSの発展により、一旦問題が生ずると瞬く間に炎上し、多数の消費者からのクレームや争訟が生じる例が見られます。
それに加え、適格消費者団体(消費者契約法に根拠を置く消費者団体)の権限が消費者法制が改正されるたびに拡充され、不当表示・不当勧誘・不当条項などにおける差止請求が、消費者契約法・景品表示法・特定商取引法・食品表示法において導入されるに至りました。近年、適格消費者団体は、特に消費者契約・景品表示法に基づく差止請求を積極的に活用しており、差止請求が訴訟物となった最高裁判決(サンクロレラ訴訟)が登場するに至るなどBtoCビジネスを営む上では意識しなければならない重要な存在となっています。さらに、2016年10月には、集団的な消費者の被害回復を図ることを目的とした消費者裁判手続特例法(いわゆる日本版クラスアクション制度)が施行されるに至りました。
当事務所の弁護士は、個別の消費者との交渉や訴訟の代理はもちろんのこと、SNSでの炎上も伴う集団的な消費者の訴訟の代理人を務め、かつ、適格消費者団体からの差止請求の申入れに対する対応や交渉の経験も多数有しており、消費者争訟・消費者団体対応において、的確な法的助言や交渉代理サービスを提供いたします。
内部通報制度
近年、企業における不祥事が後を絶たず、中には事業の存続すら危ぶまれる深刻な偽装問題などの不祥事事件が散見されます。こういった不祥事を未然に、または、初期の段階で防止するためには、内部通報制度が有用です。内部通報制度は、たとえば、食品の原産地偽装や自動車の燃費性能偽装などといった事業者内部の者しかわかり得ないような消費者の安心・安全を損なう不正事案や、カルテルといった密行性の高い競争法違反行為などの発見に効果的であり、不正発見の端緒(きっかけ)としても、実に内部監査の1.5倍の効果があるためです(消費者制度課「内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドラインについて」参照)。このため、充実した内部通報制度が設置され、適切に運用されれば、不正発見の端緒として、極めて実効的な制度となります。
しかし、内部通報制度を利用した者を不利益に取り扱ったり、通報を軽視し十分に対応しないといった形で内部通報制度を運用するなどした場合、制度が機能不全に陥ります。内部通報制度が機能不全に陥ると、主要な自社内不正発見の端緒がなくなるだけでなく、内部通報の契機があったにもかかわらず、不祥事が思わぬ形で発覚したような場合には、企業のレピュテーション維持に取り返しのつかない事態が生じてしまったという事例もみられるところです。
このような内部通報制度の運用面の問題点を捉え、公益通報者保護法を所管する消費者庁では、2017年に内部通報ガイドラインを抜本的に見直したほか、企業の適正な内部通報制度には認証を与える「内部通報制度認証」を導入する予定です。また、内閣府消費者委員会は、2018年に専門部会を立ち上げて、公益通報者保護法における規律の在り方や行政の果たすべき役割等を検討しているところであり、内部通報制度はとても動きが大きな領域です。このため、企業としては、最新動向を取り込んだ上で内部通報制度を構築し、その運用を改善・向上させることが求められます。
当事務所の代表弁護士(染谷)は、大手IT企業の組織内弁護士時代、内部通報の社内窓口の任にあり、複数の通報があった案件の調査を実施した経験があり、現在においては顧問企業の複数の内部通報制度を企画・設置した上で、社外窓口に就任し、法令違反疑義事案の社内調査委員会の委員として不祥事調査を行った実績があります。当事務所では、独立性の高い小規模事務所の利点を活かして、積極的に内部通報窓口としての役割をお引き受けするとともに、行政サイドの動きや他社動向を踏まえた最新の知見に基づき、内部通報制度の運用・改善等に関するご相談に対応しています。