【I&S インサイト】かっぱ寿司事件にみる転職者と営業秘密管理

執筆者:土生川 千陽

 

 はじめに

かっぱ寿司の社長が機密情報漏洩の疑いで逮捕・起訴され、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト株式会社(以下「カッパ社」という。)も起訴される事件があり、耳目を集めました。

本稿では、この事件をもとにして、どのような行為が不正競争防止法違反となったのか、また、このような行為を防ぐために事業者はどのような対策ができるのかについて検討します。

 

 かっぱ寿司事件

各種報道によれば、事件の概要は以下のとおりです。

A氏は株式会社ゼンショーホールディングス(以下「ゼンショーHD」という。)に在籍し、2014年から2017年にゼンショーHD傘下で「はま寿司」を運営する株式会社はま寿司(以下「はま寿司」という。)の取締役、2017年に同じくゼンショーHD傘下のジョリーパスタ社長、2018年から2020年はゼンショーHD傘下のココスジャパンの社長を務めました。その後、202011月に転職して「かっぱ寿司」を運営するカッパ社の顧問となり、同年12月にカッパ社の副社長、20212月からはカッパ社の社長となりました(逮捕をうけて202210月3日付退任)。

A氏は、ゼンショーHDから転職した前後の2020年9月から12月にかけて、「はま寿司」の仕入れに関するデータをコピーして不正に持ち出し、かっぱ寿司のデータと比較するなどして使用したとのことです。

 

2020.9中旬

A氏、ゼンショーHDへ退職意向を伝える

2020.9下旬

A氏、ゼンショーHDの秘密保持誓約書に署名

2020.9.30

A氏、はま寿司の食材の仕入れデータなど(以下「仕入れデータ」といいます。)の情報をコピー

2020.11

A氏、かっぱ寿司に転職

2020.11

A氏、はま寿司経営企画部長のC氏からパスワードを受領

A氏、仕入れデータをカッパ社商品企画部長のB氏にメールで送信

2020.11.25

B氏、仕入れデータをカッパ社の社員に送信

2020.11~12中旬

A氏、はま寿司の元部下D1からはま寿司の日時売上げデータ(以下「売上データ」といいます。)をメールで受領(複数回)

2020.12頃

カッパ社、はま寿司の仕入れデータをカッパ社内で使用

2022.9.30

警視庁、A氏・B氏を逮捕

2022.10.21

A氏・B氏・カッパ社を不正競争防止法違反の罪で起訴

C氏を不正競争防止法違反の幇助で略式起訴

2023.5.31

A氏、懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決(東京地裁)

  

 退職会社

3.1 退職会社であるはま寿司におこった事実

以上の事実を会社ごとに見ていきます。退職された側の企業であるゼンショーHD及びはま寿司からみると、本件で何が起こったといえるでしょうか。

    ア    A氏から退職を告げられたのち、秘密保持誓約書に署名をしてもらった

    イ    退職者であるA氏に仕入データを持ち出された

    ウ    在職者である経営企画部長のC氏が、仕入データ利用に必要なパスワードをA氏に送信していた

    エ    A氏が、仕入データをカッパ社内で展開していた

    オ    在職者であるD氏が、A氏に、日時売上げデータを送信していた

    カ    持ち出されたデータがカッパ社内で使用されていた

    キ    C氏が略式起訴された

 

3.2 営業秘密

不正競争防止法2条6項

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

 

仕入れデータははま寿司らの営業秘密といえるでしょうか。

不正競争防止法で保護される営業秘密といえるためには、①秘密として管理されている(秘密管理性)②有用な技術上または営業上の情報であって(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)が必要です。

実務上最も問題となるのは①秘密管理性です。秘密管理性とは、その情報が会社にとって秘密情報であるということが従業員等にわかる程度に、アクセス制限(パスワード管理、アクセス権限の限定、施錠)や秘密であることの表示(「マル秘」等)がされていることをいいます。秘密としての管理が適切に施されていない場合には、不正競争防止法上の「営業秘密」に該当せず、不正競争防止法の保護が受けられないことになります。

本件では、①はま寿司の管理情報は不明ですが、別途のパスワードを必要としているところ等からして、会社内でもアクセス制限等の秘密管理措置がされている可能性が高く、秘密管理性がありそうです(①)。そして、他社で比較表を作成するなどして利用されていることから業務に有用と思われるため、有用性があり(②)、また公表されている情報ではありませんので、非公知といえます(③)。

以上から、営業秘密要件を満たし仕入れデータは「営業秘密」となると思われます。この前提で、以下の検討を行います。

 

3.3 営業秘密侵害

不正競争防止法は、民事及び刑事において、営業秘密の侵害を禁止しています。本件で起こった事実は、営業秘密侵害といえるでしょうか。

 

3.3.1 民事(2条1項)

民事で禁止されている営業秘密侵害には大きく分けて3つの類型があります。

(1) 不正取得

不正に侵入して営業秘密データを取得するなど、権原の無い者が営業秘密を取得、使用、開示すると営業秘密侵害に該当します(4号)。

(2) 権原ある者(正当取得)の違法行為(図利加害目的での使用・開示)

従業員や業務委託契約関係にある者等、営業秘密の取得の権原のある者が当該権原に基づいて使用、開示することは適法ですが、権原があっても、取得した営業秘密を図利加害目的をもって使用・開示した場合は違法です(10号)。

(3) 転得者

そして、これらの違法な取得や違法な開示等がされた営業秘密を、不正な経緯を知って、又は重過失により知らないで取得した悪意転得者が、使用・開示する行為は違法です(5号、8号)。

仮に、取得する際には不正な経緯を知らない場合でも、不正な経緯を事後的に知った場合には知った時点以降の使用・開示は違法となります(6号、9号)。ただし、知らないときに設定された権原の範囲内での使用は許されています(191項6号)。

 

3.3.2 本件での営業秘密侵害(民事)

3.3.2.1 A氏による侵害

本件では、A氏はア.誓約書に署名した後、イ.仕入データを取得しています。イの時点ではA氏はゼンショーHDに在籍していますが、仕入データの取得、使用、開示等の権原があったのか、制限されていたかどうかは不明です。ここでは一旦、取得権原はあったものとして考えます(上記(2)の類型)。

そうすると、イの取得自体は違法ではなく、その後、A氏が図利加害目的をもって使用・開示した時点で営業秘密侵害があったということになります。本件では、エ.の展開された時ということになります。

 

3.3.2.2 B氏及びカッパ社による侵害

さらに、転得者であるB氏及びカッパ社について検討します。

B氏はA氏からの開示を受けて仕入れデータを使用・また社内でさらに開示しています。カッパ社は、A氏からの開示を受けて仕入れデータを使用しています。

上記でみたとおり、転得者は、営業秘密の不正な取得・開示等に関する不正な経緯を知っていた(重過失を含む)か、知らなかったかが重要ですが、B氏及びカッパ社はいずれでしょうか。

この点、B氏については不明ですが、報道によれば、カッパ社は、不正な経緯を知らなかったし、仕入データを持ち出すように依頼したこともないと述べています。しかしながら、B氏ははま寿司と同種の事業者に勤務する者であり、カッパ社は、はま寿司と同種の事業を営む事業者であり、仕入データが営業秘密として管理されるような類型の情報であることを知りえたと考えるのが自然です。よって、B氏及びカッパ社は、不正な経緯を知って、又は重過失により知らないで、取得、使用、開示したといえるのではないかと考えられます。

以上から、B氏及びカッパ社が仕入データの開示を受けて、これを比較表等に使用した行為は、営業秘密侵害に該当する可能性が高そうです。

 

3.3.3 刑事(211項、3項)

刑事で規定されている営業秘密侵害罪は大きく4つの類型があります。また、法人も処罰される両罰規定があります。

 

3.3.3.1 類型

(1) 不正取得

不正アクセス等の管理侵害行為、詐欺等の行為によって、図利加害目的で営業秘密を不正に取得する行為(1号)、不正に取得した営業秘密を、図利加害目的で使用または開示する行為は違法です(2号)。

(2) 正当に営業秘密が示された者(正当取得)の違法行為

保有者から正当に営業秘密を示された者でも、図利加害目的で、営業秘密の管理に係る任務に背き、媒体等の横領、複製、消去義務に反した上で消去を仮装する、のいずれかの方法により営業秘密を横領する行為は、違法です(3号)。当該営業秘密を使用・開示する行為も違法となります(4号)。

さらに、現職の従業員が図利加害目的で、営業秘密の管理に係る任務に背き、使用・開示する行為(5号)、在職中に営業秘密の開示の申込や使用または開示について請託を受け、退職後に使用または開示する行為も違法行為とされています(6号)。

(3) 転得者

図利加害目的で、不正に開示された営業秘密を使用・開示する行為は違法です(7号)。2次的な転得者にとどまらず、3次以降の転得者についても同様の規定となっています(8号)。

(4) 営業秘密侵害品

生産方法等の営業秘密の場合、使用の結果として製品が作られますが、このような営業秘密の不正使用により生じた物(営業秘密侵害品)を、譲渡、引渡し等することは違法行為です(9号)。

 

3.3.3.2 罪責

営業秘密侵害罪は、時代の要請に従って重罰化されています2。現在の法定刑は、10年以下の懲役若しくは2,000万円以下の罰金またはこれの併科です。未遂も罪に問われますし、海外重罰の規定もあります3

 

3.3.3.3 法人処罰(22条)

法人の業務に関して、営業秘密侵害罪にあたる行為が行われた場合には、行為者が処罰されるほか、その者が所属する法人がそれぞれ処罰の対象となります。海外重罰にあたる罪の場合は10億円以下の罰金(1号)、その他の不正取得型の営業秘密侵害罪の場合は5億円以下の罰金(2号)と定められています。

 

3.3.4 本件での営業秘密侵害(刑事)

本件は刑事事件として起訴されたことが既に報じられていますが、ここでもう一度行為内容を確認します。

 

3.3.4.1 A氏の行為

民事でみたとおり、本件では、A氏はア.誓約書に署名した後、イ.仕入データを取得しています。イの時点では、A氏はゼンショーHDに在籍していますが、仕入データの取得、使用、開示等の権原があったのか、制限されていたかどうかは不明です。ここでは一旦、正当に営業秘密が示されたものとして考えます(上記(2)の類型)。

そうすると、イの取得自体は違法ではなく、その後の可能性としては、消去義務違反をした上で消去を仮装した(3号)や、図利加害目的をもって使用・開示した(4号)が考えられます。

報道によれば、カッパ社は、不正な経緯を知らなかったし、仕入データを持ち出すように依頼したこともないと述べていますので、在職中に申し入れや請託を受けて退職後に開示する6号は適用されていないのではないかと考えられます。

 

3.3.4.2 B氏の行為

民事でみたとおり、B氏は、A氏から仕入れデータの開示を受け、さらにカッパ社内に展開し、仕入データを使用しています。

B氏は図利加害目的をもって、不正に開示された営業秘密を使用・開示する行為をしたものと考えられます。

 

3.3.4.3 カッパ社の罪責

カッパ社も起訴されています。

上述のとおり、A氏及びB氏がカッパ社の事業のために仕入データを社内で展開し、カッパ社の従業員が使用していますので、「法人の業務に関して、営業秘密侵害罪にあたる行為が行われた場合」に該当すると考えられます。

 

3.4 ゼンショーHD及びはま寿司に何ができたか

ここからは、ゼンショーHD及びはま寿司に何ができたかを検討します。

 

3.4.1 秘密管理体制

秘密管理体制は、不正競争防止法の「営業秘密」該当性に影響する重要な体制ですが、外部からの侵入を許さない一部の隙もない体制の構築ではありません。

よって、ゼンショーHD及びはま寿司は、秘密管理体制を一応とっていたと考えられます。本件の問題は、営業秘密管理体制に加えられるべき、以下の、従業員に対する教育や、退職者に対する注視等の問題であった可能性が高いといえます。

ただし、法律上はそう考えられるとしても、今回のように、実際に営業秘密が流出した場合には様々なコストが生じることを考えると、例えば、退職予定者に対しては秘密管理上の権原を見直す等の柔軟な対策があり得たとも考えられます。

 

3.4.2 秘密保持誓約書 

ゼンショーHD及びはま寿司は、アのとおり、退職者に対し、秘密保持誓約書に署名をもらっています。

退職者に対し、このような秘密保持誓約書に署名を求めることは一般的に行われており、ゼンショーHD及びはま寿司は退職者に考えられる措置を一応は行っているようです。

本件で署名された秘密保持誓約書の内容は不明ですが、営業秘密データの消去等が義務として入っている場合には、消去義務違反のみで責任を問うことも可能です。そうでなくとも、例えばA氏の主観面の立証に役立つこと等が十分考えられ、刑事事件はもとより、今後民事上の賠償請求がされる場合でも、重要な書面となるといえます。

しかし、本件では、誓約書があってもA氏による仕入れデータの取得は防げておらず、誓約書は行為を防止できませんでした。ゼンショーHD及びはま寿司は、より防止効果を得られるよう、退職者の義務内容を明確化すること等も考えられます。

 

3.4.3 その他退職者に対する注視

営業秘密侵害は、退職者によるものが多いのが現実です。よって、退職者やその退職時期が決まったら、会社として行うことを予め定めておくことも有用です。

例えば、内規等で、返却すべきものを返却し忘れないように確認を促すことや、退職直前期においては、会社によるログ管理、退職者のメールの注視等が考えられます。

なお、転職禁止規定や転職禁止特約が問題となることがありますが、本件では、A氏が役員である上、転職禁止の特約について報道されたものが見当たらないため論じないこととします。

 

3.4.4 在職者に対する対応

本件では、

    ウ    在職者である経営企画部長のC氏が、仕入データ利用に必要なパスワードをA氏に送信していた

    オ    在職者である元部下D氏が、A氏に、日時売上げデータを送信していた

が行われ、結果として従業員が略式起訴される(キ)ことになっています。

このように、はま寿司に在職中の複数の従業員がA氏にパスワードやデータを送信していますが、これらは、営業秘密管理に対する意識の低さが原因となっている可能性があります。

そもそも秘密管理体制は、従業員が、秘密として管理されている状態を認識できる体制であるものです。アクセス制限等がされており、就業規則等で秘密保持について規定されていても、例えば、営業秘密にあたる情報がどれであるのか、秘密として管理されている状態の認識が十分でないと、秘密管理体制が適切に働きません。会社としては、体制や規定の整備等に加え、秘密と管理されていることや、持ち出さないようにすべきことを認識するための研修等が重要と考えられます。本件の教訓からは、たとえ元上司であっても、退職後は社外の人間であって、秘密管理の枠外であることを再度注意喚起する必要もあるように思われます。

なお、上述した秘密保持誓約書を、入職時にも要求するということも考えられます。そうすれば、在職者本人が在職中の義務を認識することにも役立ちますし、後に退職する際にも、覚書等が締結できないという事態を防げるという効果が見込めるからです。

 

 転職(入職)した先の会社

4.1 入社する転職者への対応

それでは、A氏が転職した先のカッパ社からみると、どのようなことが起こっていたのでしょうか。

    ク    転職者であるA氏が、前職から仕入れデータという営業秘密を持ち出していた

    ケ    A氏が、前職の仕入れデータを既存社員であるB氏に送信した

    コ    B氏が、A氏から送信されたの仕入れデータをカッパ社内で展開していた

    サ    社内で、仕入データと自社のデータの比較表が作られる等して仕入れデータを利用していた

    シ    A氏、B氏が逮捕・起訴された

    ス    A氏が社長を退任することとなった

    セ    会社も起訴された

 

上記のとおり、A氏がク..の行為を行い、カッパ社に他社の営業秘密を持ち込んでいます。それを、B氏及び他の従業員が社内でさらに開示し(コ)、使用しています(サ)。

これによって、A氏・B氏という逮捕者が出て大きく報じられ、社長退任、カッパ社自身も起訴と非常に大きな問題となりました。

カッパ社にとって、これらの事実に対し、どのような対策が考えられたでしょうか。

 

4.2 転職者への対策

報道によれば、カッパ社は、「会社として仕入れデータなどの取得を依頼した事実は一切ない」と、会社としての関与を否定しているということです。これを前提とすると、A氏が独断ではま寿司の仕入れデータを持ち込んだということになります。

A氏のように、競業他社で活躍する人材を採用する場合、採用する会社は、当該人材の有する人的なつながりや培った経験、ある種のノウハウを期待することは通常と考えられます。よって、競業他社からの採用、引き抜き等そのものが問題とはいえません。

しかしながら、競業他社からの転職者に対しては、今回のような、営業秘密の持ち込みリスクが類型的に高いものと意識する必要があると考えられます。

よって、カッパ社としては、社内に前職の営業秘密情報を持ち込まないよう、入職の際に確認する等の仕組みが考えられたのではないでしょうか。

A氏が仕入データを持ち込まず、ゼンショーHD及びはま寿司から不正に取得したのみであれば、B氏が罪を犯すこともなかったといえます。さらに、「法人の業務に関して、営業秘密侵害罪にあたる行為が行われた場合」に該当しない可能性が高く、カッパ社も刑事責任を問われなかったことが考えられます。

 

4.3 従業員への対策

カッパ社内では、転職者であるA氏仕入データを社内の従業員間で開示し、さらに、自社データとの比較表を作成するなどして使用していました。

営業秘密に関しては、経済産業省のガイドライン4等もあり、営業秘密を保有する会社は、自社の営業秘密を守る体制を構築しているものと考えられます。しかしながら、他社の営業秘密を侵害しない体制については、まだ十分に対策されているとはいえません。

本件のカッパ社においても、他社の営業秘密を侵害しないようにすることについての認識・体制は不十分だった可能性があります。

営業秘密について、侵害から守ることと侵害しないことについては結局共通の問題といえます。よって、営業秘密管理体制の研修等で、営業秘密ひいては不正競争防止法自体の知識を深め、営業秘密管理体制の認識等と共に、侵害しないことについても認識を高めることが考えられます。

 

 結語

以上のとおり、営業秘密侵害は、実際に問題となった場合に大きく報道されるなど世間の関心の高い分野であり、また、民事及び刑事両方の、重い責任が規定されています。

しかし、今回の事件のとおり、重罰によっては事件を防げていません。そして、一旦侵害され不当に取得・使用された営業秘密は、民事でも刑事の責任追及では回復できない可能性が高く、また、大きく報道されることから、会社のレピュテーションリスクも高いといえます。

よって、予防、対策をし、リスクを減少させることが何よりも重要です。悪意による侵害が行われる場合等には対策は非常に難しいものとなり、完全な対策は存在しないともいえますが、営業秘密管理体制を見直す、定期的な研修を行うなどの対策を不断に実行することが必要です。さらに、不正競争防止法の知識を確認し、他社の営業秘密を侵害することのないようにという視点からも、社内体制の構築を再検討することが有用と考えられます。

 

以上


 

  1. C氏とは別人。A氏は、元部下のD氏に営業秘密を開示させた罪でも送検されました(当該D氏も送検されました)が、いずれも不起訴となっています。
  2. 親告罪だったものが非親告罪化され、海外重罰も導入されています。
  3. 日本国外で使用する目的で営業秘密を不正に取得した場合(1号)、相手方が日本国外で使用する目的があることを知って開示した場合(2号)、日本の事業者の営業秘密について、国外で違法行為をした場合(3号)には、10年以下の懲役若しくは3,000万円以下の罰金またはこれの併科。
  4. 営業秘密管理指針

    https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/h31ts.pdf

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執筆者
  • 土生川 千陽
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